「未経験エンジニアでも上流工程って目指せる?」そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、未経験エンジニアでも戦略的なアプローチによって上流工程を目指すことは可能です。
実際に筆者も未経験からエンジニアとしてキャリアをスタートし、現在は設計書の修正業務を担当するまでになりました。
本記事では上流工程と下流工程の違いから、未経験エンジニアが上流工程を目指すための具体的な4つの方法まで詳しく解説します。
キャリアアップと年収向上を実現したい方は、ぜひ最後までお読みください。
- 上流工程と下流工程の違い
- なぜ上流工程が人気なのか
- 上流工程を目指す方法
上流工程とは?


上流工程ってなんですか?
上流工程は、システム開発の初期段階で行われる工程です。
顧客の要望を整理した後、システム全体の設計を行う段階を指し、工程は以下3つに分けられます。
- 要件定義
- 基本設計書
- 詳細設計書
以下で各工程について詳しく説明していきます。
要件定義
要件定義は、顧客が求める機能や性能を明確化する工程です。
顧客へのヒアリングを通じて「何を作るか」を決定し、システムの目的や必要な機能を文書化します。
曖昧な要望を具体的な仕様に落とし込む作業であり、後工程の品質を左右する重要な段階といえるでしょう。
以下は要件定義の具体例です。
具体例: ECサイト構築の場合
- 商品登録機能が必要
- 決済方法はクレジットカードと銀行振込
- 同時アクセス数は1000人まで対応 など…
要件定義は顧客との打ち合わせを何回も繰り返し、必要な機能をまとめていきます。



顧客が求める機能をすべて取り入れるのではなく、自社のスキルや言語をまとめて、慎重に提案していく必要がありますね。
したがって、提案力やコミュニケーション能力が必然的に必要な工程となってきます。
基本設計
基本設計は、要件定義で決めた内容を技術的な観点から設計する工程です。
システム全体のアーキテクチャを決定し、画面設計やデータベース設計を行います。
顧客にも理解できる形で設計書を作成し、開発の方向性を示す重要な役割を担っています。
以下は基本設計書に記載する内容の一部です。
具体例
- 画面遷移図の作成
- データベースのテーブル構造設計
- 各画面の基本的な機能や動作 など…
また設計書は顧客に提出するだけでなく、今後会社に入社してくる人のためにも、丁寧にわかりやすく作成していく必要があります。



初心者の人が見てもわかりやすいように
作成する必要がありますね!
詳細設計
詳細設計は、基本設計をさらに具体化する工程です。
プログラマーが実装できるレベルまで詳細化し、処理の流れやデータの持ち方を明確に定義します。
この段階で作成される設計書が、実際のプログラム作成の指針となるのです。



ちなみに筆者の会社では、基本設計書にまとめた各画面を
詳細設計書では1つずつ作成していきます!
下流工程とは?





一方、下流工程ってなんですか?
下流工程は、設計書をもとに実際にシステムを構築する工程を指します。
プログラミングから始まり、動作確認まで含まれる実装段階です。
- プログラム作成
- テスト
- 運用・保守
よく表現される方法ですが、建築に例えると要件定義~詳細設計書が建物の構造を考える建築家、プログラム~テストがそれを作り上げる大工になります。
では、次で各工程を詳しく見ていきます。
プログラム作成
プログラム作成は、基本設計書や詳細設計書に基づいてソースコードを書く工程です。
設定された仕様通りに動作するプログラムを作成し、個々の機能を実装していきます。
プログラミング言語の知識と論理的思考力が求められる作業で、多くの未経験エンジニアが携わっていく工程といえるでしょう。
リーダブルコード(ほかの開発者が読んで理解しやすいコード)を意識して、書いていく必要がでてきます。
システムエンジニアとプログラマーっていまいち違いがわからない!そんな方に向けた記事をご用意しています!


テスト
テストは、作成したプログラムが正しく動作するかを確認する工程です。



未経験エンジニアがまず行う工程とも
呼ばれているところですね。
単体テストから結合テスト、システムテストまで段階的に実施し、バグの発見と修正を行います。
- 単体テスト:機能や画面など、1つ1つを対象に行うテスト
- 結合テスト:機能や画面を複数組み合わせて行うテストであり、単体テストの後に行う。
品質保証の観点から非常に重要な工程であり、細かな確認作業が中心となる作業です。
運用・保守
システムは開発して終了ではありません。
運用・保守は、システムが稼働開始した後の継続的な管理を行う工程です。
日常的な監視業務やデータバックアップ、障害発生時の対応などが主な作業となります。
また、利用者からの問い合わせ対応や機能追加・修正といった保守作業も含まれています。
未経験エンジニアに任されることが多い工程の1つですが、システムの安定稼働を支える重要な役割を担っているのです。
なぜ上流工程を目指すのか



どうしてみんな上流工程を目指すんだろう?
上流工程を目指す最大の理由は、キャリアアップと昇給の実現にあると筆者は考えます。
上流工程では、システム全体を俯瞰する視点と顧客との直接的なやり取りが求められるため、高い技術力とビジネススキルが必要です。
その分、給与水準も高く設定されており、エンジニアとしての市場価値向上につながります。
また、上流工程の経験は転職時にも有利に働き、より良い条件での転職が可能になるでしょう。
プロジェクト全体をコントロールする立場として、やりがいも大きく感じられる点も魅力の一つです。
未経験からすぐに上流工程は可能?





上流工程、とても魅力的です!
でも未経験からすぐって難しいかなぁ…
厳しいですが、未経験エンジニアがすぐに上流工程を担当するのは現実的ではありません。
多くの企業では、まず3年~5年程度は下流工程で経験を積むケースが一般的です。
システム開発の基礎知識や実務経験なしに、上流工程を任されることは難しいといえるでしょう。
ただし、スキル向上への取り組みや手段次第では、この期間を短縮することは可能です。
積極的な学習姿勢と適切なアプローチにより、早期に上流工程へのステップアップを実現できます。



次でその方法をお伝えしますね!
未経験エンジニアでも上流工程を目指す方法





では未経験エンジニアでも、上流工程を
目指す方法が知りたいです!
未経験から上流工程を目指すには、段階的なスキルアップと戦略的なキャリア形成が重要です。
- まずは下流工程からはじめる
- スキルを磨く
- 設計書の修正を任せて貰えるようにする
- 上流工程を募集している企業に転職する
以下で、この具体的な方法を詳しく解説していきます。
まずは下流工程からはじめる
上流工程を目指すためには、やはり下流工程の基礎をしっかり固めるところからスタートする必要があります。
プログラミングやテストの経験なしに設計や要件定義を行うことはできません。
システムがどのように動作するかを理解し、実装時の制約や課題を把握することで、実現可能な設計ができるようになります。
下流工程での経験は、後に上流工程で活かされる重要な財産となるでしょう。
焦らず着実にスキルを積み重ねることが、確実な成長への近道です。



まずは既存システムのコードを読み解く、単体テストの仕様書作成や実行方法を学ぶ、ここからスタートしましょう!
スキルを磨く
上流工程で求められる多様なスキルを計画的に身につけることが重要です。
技術的なスキルだけでなく、ビジネススキルも含めた総合的な能力向上が必要になります。
以下は上流工程に必要と言われているスキルです。
- コミュニケーションスキル
- 論理的思考・問題解決力
- ITスキル
- マネジメント力
次で簡潔に説明していきます。
コミュニケーションスキル
上流工程では顧客や関係者との密接なやり取りが欠かせません。
相手の要望を正確に聞き取り、技術的な内容を分かりやすく説明する能力が求められます。
また、会議での発言力やプレゼンテーション能力も重要な要素となるでしょう。
エンジニアにコミュニケーションスキルが必要ってよく聞くけど本当?そんな方に向けた記事もご用意しています!


論理的思考力・問題解決力
エンジニアは複雑な業務要件を整理し、システム化する過程において、高い論理的思考力が必要です。
したがって問題の本質を見抜き、適切な解決策を提案する能力が上流工程において重要になってきます。
日頃から論理的な思考を心がけ、問題解決のフレームワークを学ぶことが有効です。
ITスキル
上流工程は、幅広いIT知識とトレンドへの理解が不可欠です。
データベース設計やネットワーク、セキュリティなど、システム全体に関わる技術知識が求められます。
新しい技術への興味と継続的な学習姿勢が重要になるでしょう。
未経験エンジニア転職に資格って必要?エンジニアの資格についてまとめた記事もご用意しています!


マネジメント力
プロジェクト全体を統括する立場として、マネジメント能力の習得は非常に重要です。
スケジュール管理・リスク管理・チームをまとめる力など、多角的なマネジメントスキルが必要になります。
小規模なプロジェクトからでも、リーダーシップを発揮する機会を積極的に作ることが大切です。
設計書の修正を任せて貰えるようにする
新規開発の設計書作成は難易度が高いですが、システム改修における設計書の修正であれば任せてもらえることがあります。
既存システムの改修では、元となる設計書が存在するため、変更点を明確にして修正する作業が中心となります。



筆者も現在は、既存システムの設計書の修正を
よく行います!
この経験を通じて設計書の構成や記載方法を学び、上流工程のスキルを段階的に身につけられるでしょう。
小さな修正作業でも積極的に手を挙げ、上流工程への意欲を示すことが重要です。



チャンスがあれば、ぜひ上司や先輩に設計書の一部に携わらせてもらえるよう申し出てみましょう!
上流工程を募集している企業に転職する
1年から2年の経験を積んだ段階で、上流工程を募集している企業に転職するのも一つの有効な手段です。
現在の職場で上流工程の機会が限られている場合、環境を変えることで早期のステップアップが可能になります。
転職活動では、下流工程で培った経験と上流工程への意欲を明確にアピールし、成長意欲の高さを示すことが成功の鍵となるでしょう。
従業員が少ない会社では、一人が複数の工程を担当する機会が多く、上流工程への参画チャンスがありますよ!


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まとめ:上流工程を目指そう!
今回は未経験エンジニアでも上流工程が可能なのか、その方法についてお話しました。
システム開発は上流工程と下流工程に分かれます。
そして上流工程は高いコミュニケーション能力と技術力が求められるため給与水準も高く設定されています。
未経験エンジニアがすぐに上流工程を担当するのは困難ですが、スキル向上と手段次第でステップアップすることは可能です。
未経験エンジニアでも十分目指せます!基礎を身に付けて、理想のキャリアを実現していきましょう!